大学生の娘(21歳)が親の印鑑を勝手に持ち出し、エステを契約してしまった! | |
娘さんが印鑑を持ち出して、勝手にあなたの名前を契約書に記載しても、代理する権限を欠く行為(無権代理行為)でありあなたに責任は発生しません。例外的に、取引の相手方が娘さんに代理権があると誤信したことについて何らかの正当な理由がある場合(表見代理)や、あなたが娘さんに代わって代金の支払いをする(追認)と、責任が生じます。
軽い気持ちであっても、配偶者や両親、子など身内の名前を本人の了解なく契約書に記載したりすることはそれ自体犯罪です(文書偽造)。娘さんにはそのことをよく理解してもらいたいですね。 では、娘さんの責任についてはどうでしょうか。無権代理人の責任の規定からすると、原則的には代金支払いか損害賠償の責任が生じます。ただし今回ご質問のケースでは、エステというサービスの特殊性についても考える必要があるでしょう。エステは長期・継続的なサービスの提供とこれに対する高額な対価を約する取引です。そのため勧誘時等にトラブルが生じやすい取引であるともいえます。娘さんが親の名前で勝手に契約したのはいけないことですが、その背景に強引・不当な勧誘など契約締結時における事業者側の問題がなかったかについては特に詳しく事情を聞き、その上で契約を解除する道を探るべきでしょう。 消費者トラブルを生じやすい特定の取引類型を対象に、トラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為を取り締まるため特定商取引法(特定商取引に関する法律)という法律があります。エステは「特定継続的役務提供取引」として、この法律の規制対象とされています。 この場合消費者は契約書面を受け取った日から8日間クーリングオフによる契約解除ができます。また事業者の勧誘時の対応によってはクーリングオフ期間に関係なく契約を取り消しできる場合もあります。具体的な解決のためには、お早めに専門家に相談されることをお勧めします。 |