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「認知症の高齢者が所有する不動産の売却」について

一人暮らしの高齢者のAさんは、最近、認知症がひどくなり老人ホームに入所することになりましたが、施設の入所費用を持っていないので、住んでいる不動産を売却して入所費用に充てたいと思いますがどうしたらよいでしょうか?

後見人の選任を申立てる必要がある

 不動産を売却するなどの財産の処分行為をするためには、本人が意思能力を有していなければなりません。ご質問のケースでは認知症がひどいとのことですので、Aさんは自分では不動産を売却するなどの法律行為をすることはできません。
 このようなケースでは,Aさんのために家庭裁判所に後見人の選任を申立てる必要があります。後見人は、本人の財産を管理したり、財産に関する法律行為について本人を代理します。したがいまして、ご質問のケースでは後見人が本人を代理して不動産の売買契約を締結することになります。さらに、居住用の不動産の売却については家庭裁判所の許可を得なければなりません。この場合、誰が後見人になるかについて、その資格については特に制限はありませんが、後見人は本人の生活、療養看護及び財産の管理を行なうにあたっては、本人の意思を尊重し、その心身の状態及び生活の状況に配慮した後見事務を行なわなければなりません。また、誰が家庭裁判所に後見人選任の申立てができるかという問題がありますが、民法では本人や配偶者、四親等内の親族などに限り申立てを認めています。しかし、身寄りのない認知症の高齢者や知的障がい者、精神障がい者については、その福祉を図るために特に必要なときは、市町村長も後見開始の申立てができます。
 もし、Aさんに身寄りがなければ、市町村長から後見開始の申立てをしてもらうことになります。この場合、後見人については、家庭裁判所で適当な人を選任します。


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