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高齢の身内のこれからが心配!

高齢の身内のこれからが心配!

高齢者人口の増加にしたがって、ここ10年のうちには、高齢世帯は約1700万世帯、そのうち1人暮らし世帯は約3分の1にあたる570万世帯に達するといわれています。
平成18年4月1日からは、介護保険制度の一部が改正されましたが、判断能力が十分でない高齢者が、その時々によって、自分に必要な福祉サービスを選んで、手続きをするのはなかなか大変なことだと思います。      
 また、認知症が進むにつれ、財布や通帳をなくすなど、日々の金銭管理もだんだん不安になってくるものです。            
 こうした場合に高齢者が地域で安心して暮らせるよう、個人の財産と権利を守るしくみとして、社会福祉協議会が行っている「地域福祉権利擁護事業」があります。サービスの内容としては、金銭管理サービス(日常的な金銭管理が難しい方のために必要な預貯金の出し入れと本人への現金の受け渡し、公共料金・家賃等の支払いを行う)・生活支援サービス(福祉サービスの利用手続きを援助し、定期訪問による見守りなどを行う)、財産保全サービス(通帳・証書等を金融機関の貸金庫を利用して確実に保管する)があります。
 Aさんのケースですが、月に1度、生活支援専門員Bさんと銀行で生活費を下ろし、自宅に帰ってから一緒に郵便物を開封していました。手続きが必要なものはBさんがAさんに説明して申請等を手伝い、不要なものは処分します。ただ、証券会社や保険会社からの通知等、契約に関する手続きはいくらBさんが問い合わせても、法的な代理人でないため、情報を開示してくれません。何らかの契約があるようなのですが、Aさんに聞いてもさっぱり覚えていません。そこで困ったBさんは社会福祉協議会の紹介で、以前から相談にのってもらっていた司法書士のCさんに相談し、「成年後見制度」の利用を検討することにしました。
 「成年後見制度」とは、Aさんのように判断能力が十分でない方々が安心して生活できるようにご本人を保護し、支援する制度です。
判断能力が衰える前に、将来に備えて、「支援を受けたい内容」と「支援をしてもらう人」をあらかじめ決めておく「任意後見制度」と、Aさんのように判断能力が衰えた後にその程度によって「補助」「保佐」「後見」の3つの利用の仕方がある「法定後見制度」があります。Aさんの場合、家庭裁判所は司法書士のCさんを「保佐人」に選任し、Cさんの権限で、Aさんの財産の状況が明らかになり、不要な契約は整理されました。
「地域福祉権利擁護事業」と「成年後見制度」はAさんのような方の生活を守るという目的は同じでも、前者は金銭管理や諸手続きを「代行」するものであるのに対して、後者は法的な手続きを踏まえて、内容によっては「代理」する権利が与えられる点が異なります。通常は判断能力の低下にしたがって、前者から後者に移行することになりますが、Aさんの場合は、前者の生活支援サービスの中の定期訪問による見守り(声かけ、安否確認等)が必要だと判断したCさんは、当面、このサービスも続けていくことにしました。
司法書士は社会福祉協議会や行政とも連携して、社会福祉士、ケアマネージャー、保健師、民生委員など地域の支援ネットワークの中で、高齢者や障害のある方の生活を守るお手伝いをしています。高齢の身内のこれからが心配なときは、まずはお近くの司法書士事務所にご相談ください。


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