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職場の暴力行為で退職に追い込まれたので、慰謝料を請求したい!

職場の暴力行為で退職に追い込まれたので、慰謝料を請求したい!

職場での暴力行為ということですが、どのような暴力行為が、どのような経緯で、誰によってなされたのか等によって、請求できる相手や金額等が変わってくるものと思われます。
いくつかのケースについて考えてみましょう。
まず、単なる職場の同僚や上司との個人的なトラブルによる暴力の場合を考えてみますと、同僚や上司に対して、その暴力(不法行為)による治療費や精神的な苦痛に伴う慰謝料が請求できるのは当然ですが、問題となるのはその暴力行為とあなたが退職したこととの関係です。
その暴力行為によって、またはその暴力行為による人間関係の悪化により、今後あなたが会社に居続けることが困難であると考えられるものであれば、退職したこと(せざるを得なかったこと)による経済的・精神的慰謝料も加算して請求してもよいでしょう。
さらに会社への慰謝料の請求が可能かどうかという点ですが、一般的には私人間のトラブルによる暴力行為よって生じた損害を、会社へ請求することは困難だと思います。
しかし、その同僚や上司が、職場において日常的に暴力を振るっていたような場合において、それを会社が知っていた又は当然知りうるような状態であったならば、会社はその同僚や上司に対してそのような行為を止めるように指導・監督すべき義務があります。
したがって、会社にはその指導・監督を怠った過失がありますので、会社に対しても慰謝料を請求できると思います。
また、暴力行為のあったあとの会社の対応(同僚や上司に対する処分や対応策をどのようにしたのか)もあなたが退職せざるを得なかった事との関係から、十分に考慮すべきものと思います。
つぎは、会社の業務に絡んで(例えば営業成績が上がらないので叱責され殴られたような場合)の暴力の場合ですが、たまたま偶発的起きたのか、恒常的に行われていたかにもよりますが、私人間のトラブルの場合よりも、より退職せざるを得ないケースであると考えられますし、また会社の責任も増大するものと考えられます。
以上の話は、あなたに落ち度が全くない場合を想定しています。
暴力行為が許されざる行為であるのは当然であり、そのことによって、損害が発生したならば、その相手方に対して慰謝料を請求することは正当な権利です。
しかし、その暴力行為がなされるまでの、あなたの上司や同僚に対する行為や言動に問題はなかったでしょうか。
もし、あなたにも問題があったような場合、あなたが慰謝料の請求をしたときに、相手方が暴力行為については認めたとしても、その暴力行為にいたった責任の一部はあなたの側にもある、と当然あなたの落ち度を主張してくるものです。
それによって、認められる慰謝料の額等も変わってくると思われます。
いずれにせよ、個々のケースにより難しい問題をはらんでいますので、あなたにとって、有利なことも不利なこともすべてを洗い出して、まずは司法書士にご相談下さい。

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